2022-12-27

塩、砂糖、味噌に梅干し…色・サイズ違いで揃えたい理想の保存壺。

本当にずっと、ずうっと探してきたところで出会えた理想の塩壺でした。ろばの家ではすでに何度もご紹介してきて、入荷するとすぐに完売してしまう人気のアイテム。やはり皆さんも探していたことを知りました。益子の近藤康弘さんの手によるものです。


S、M、Lと1㎏入る味噌壺の4サイズ。色はカーキと前回の『定番展』で登場した北欧調の深いブルー、それから定番の白。それから益子の伝統釉の柿釉は赤茶色から黒に発色していて個体差があり、サイズごとに4~5色の展開です。釉薬の流れやたまり具合に味わいがあり温かみのある質感、それでいて民芸調すぎないスッキリしたシンプルなデザインで、探すと本当にこういう蓋物がないのです。

だから、この塩壺に出会えた時には本当に嬉しかった。市販のものではなかなか気に入ったカタチや質感のものが見当たらず適当な空き瓶なんかでごまかしてきたのですが、キッチンの窓の結露のせいかガラスだとお塩が溶けてきてしまうのです。陶器に入れている粗塩は大丈夫なのに…。精製塩でない限り密閉してはいけないのですね。土ものの陶器は、適度な吸湿性があり塩や砂糖が固まるのを防いでくれます。ウチでは3種類の塩を使いわけているのですが、益子焼の甕に調理用の粗塩、小さ目の瓶ふたつに塩の花と藻塩を入れて凌いできました。ガラスなら中身が見えますが陶器の壺だと中が見えないため、色違いで揃えられると便利です。そう、こんな風に大きさや色で使い分けられるのが理想的なのです。

塩壺と呼んでいますがこの蓋物は特に用途を限定しているわけではありません。何を入れてもいいのですが、お味噌やお砂糖、梅干しやお漬物など調味料や保存食を入れておくのに最適な条件を全て備えています。そもそも伝統的な保存食はすべて甕や木樽など、呼吸ができる容器で熟成されていました。特に発酵食品にとっては酸素はもっとも大切な要素。酵母は酸素なしには生きられないからです。ただ、お塩などを入れた時に余分な湿度を吸ってしまわないよう、よく砂糖壺についているようなスプーン用の穴は開けずある程度の密閉力も持たせたのだそうで、本当に細部までよく考えられています。はじめは蓋に取っ手のつまみをつけた形も作っていましたが、冷蔵庫の段に入れる時に邪魔になるので平らに改良。これは狙ってはいなかったそうですが、蓋にくぼみをつけたら重ねやすくもなりました。こうして少しずつ現在の完成形にと進化してきたのです。

ここまでお台所事情に通じているから女性の作品かと思えば実は男性の手によるもの。益子の古民家を工房としていましたが老朽化が進み、あたらしい工房に移ったばかりの近藤康弘さんです。「僕も自分で漬けた梅干しをこの壺で寝かせてみたんやけど、塩の角がとれるのが早い気がするんですわ」と近藤さん。わたしの関西弁の再現力はさておき(近藤さんは大阪生まれ)確かにそう話ていました。そう、ご自分で梅干まで漬けちゃうんです。塩が浸みてくるのをカビのようで汚いからと嫌がる人もいるんですけど、陶器市でコレを並べてたら「この壺、梅干入れたら塩吹いてくる?塩が浸みだしてくるのを探してるのよ!」と指名買いしていく梅干名人(多分)もいたくらいなんです、とも。それはぜひとも試してみたい。

塩壺とは呼ばず、ただ蓋物とだけ近藤さんは呼んでいますので塩に限らず調味料や保存食、発酵食品、唐辛子やショウガなどのお薬味を入れるのにも使えます。それぞれのページを見て頂くとわかりますが、Sサイズはお塩で100~120gくらいが入る大きさ。ろばの家で扱っているモノが例で恐縮ですが(笑)、塩の花の120g袋がまるごと入ります。天ぷらなどの後がけに使う仕上げ塩はテーブルにも出せるよう小さな蓋物がわたしにとっては便利。ただし頻繁に入れ替えなければならないのが面倒というひとは大きめのサイズを選ぶことをお勧めします。

Mサイズだと150gの藻塩にちょうどよい大きさです。ウチではお結びにはこのお塩、と決めています。Lサイズは500gの砂糖やお味噌がきっちり入る大きさです。味噌壺はお味噌1㎏が入るたっぷり仕様。粗塩やお砂糖などまるごと入れてしまいたい人にもおすすめです。もちろん、どんな容量の調味料をどのくらいのサイクルで詰め替えて使うかは人によって違うので、ご自分のキッチン事情に合わせて選んでいただけたらと思います。

今回近藤さんは、ツールスタンドも焼いてくださいました。塩壺に並んで、なかなか理想のものに出会えないという人の多いアイテムではないでしょうか(笑)?
作品をお願いするにあたり「わたし、口が厚みのあるツールスタンドを探しているんですけど…」とリクエストすると「口は厚めですよ。自分たちで使っているものです」という答えが返ってきたので楽しみにしていたのです。届いてみたらこれがまたドンピシャリ!口が厚くないとツールを投げ入れるのに気を使ってしまいますからね。菜箸でもターナーでもレードルでも、気兼ねなくガチャガチャ沢山差して置けるの、ありがたいですよね。サイズ感もちょうどよく、卓上用のお箸、カトラリー用、調理道具用、と使い分けられそうです。新たな定番誕生の予感にワクワクしてしまいました。
◇近藤康弘さんの作品はコチラです。

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