2025-11-28

2006年bottled Levi「片翼の天使」グラッパ入りPasta di Mandorle

開催中の「おやつの時間」では、大阪は堺のSiciliamoさんが贈る本場シチリア顔負けのクオリティーのカンノーロセットやパスタ ディ マンドルレ、1728年には結婚式の最後に振舞われたという記録も残っているという歴史の古いカラブリアの焼き菓子、ピッタ ンピリヤータなど、イタリア南部の郷土菓子を中心にご紹介しています。

そんな中、最終週を飾るにふさわしい特別なバージョンをSiciliamoさんに作っていただきました。

11月12月の2か月にまたがり職人仕事に光をあてようという試み「アルティジャーノに花束を」と名付けた企画展のご案内ページでも触れましたが、今は亡き伝説のグラッパ職人Romano Leviロマーノ レヴィ氏が2006年に瓶詰したグラッパ「片翼の天使たち」の詩が描かれたもので、最低でも20年熟成しているグラッパを加えて作ったろばの家別注バージョン。

実はこのボトル、ママろばとパパろばの出会いの場でもある札幌のワインショップ、ワインのMARUYAMAYA今村昇平商店の20周年を記念してつくばで先日開催したパーティーで開けた、ママろばの私物なんです(笑)。

なになに、そんなにすごいグラッパ職人なの?と気になる方はぜひ、当時、ママろばが初代店長として働いていた頃に書いた記事を読んでみてください。イタリアワイン(ワインの中に入れてもよければ…ワインの搾り滓の蒸留酒だからいいですよね?)史を語る上では欠かせない人物だと思うので、イタリアの食文化、ワインに興味のある方にはきっと面白く読んでいただけると思います。

2006年当時、レヴィのグラッパを手に入れるためには直接ピエモンテにある彼のアトリエ兼自宅に出向いて行って呼び鈴を鳴らし「グラッパが買いたいのですが」とお願いするか、どこから入手したのだか法外な価格で販売しているエノテカから買うかくらいしか方法がありませんでした。

そのころイタリアに暮らしていたわたしは、現在レヴィの正規輸入元であるヴィナイオータの太田社長と一緒にイタリア全土を生産者を訪ねて回っていたのですが、ピエモンテに滞在する時は毎回欠かさずレヴィのところを訪ね、そのたびに一本ずつ購入させてもらっていました。

この2006年はわたしの長男が生まれた年で、そのころにはもう日本に帰国していたわたしは直接買うことができず、太田社長にお願いして自分用と息子用にラベルを描いてもらったのでした。2006年はMARUオープンの年でもあり、それでそのボトルをパーティーの前日つくばの自宅に泊まりに来てくれた今村社長と一緒に開けたのでした。

時間を経ることでしか獲得できない独特の優しいアタックは、レヴィのグラッパを飲んだことがある人にしてみれば驚愕の経験だと思います。「あんなものはグラッパじゃねえ、ガソリンだ」と酷評する知識人も多く、よく太田社長と「あいつらにはこの世界はわからないだろう」と密かな優越感に浸っていたものですが(笑)、本当に別物。生まれ変わったとしか思えないふくよかでやわらかな香りなのです。

このボトルを初めて見た時にはそのイラストの愛らしさばかりに目がいってしまいましたが、20年の時を経てイラストの象徴的な意味合いや詩的な言葉を読むと、今のわたしにはとても刺さるものがあり、ようやく彼が「天使のグラッパ職人」と呼ばれていた本当の意味がわかったような気がしました。

パーティーにはイタリアワイン界、特にナチュールと分類されるような自然派ワインが、そんな呼び名さえ存在していなかった頃から偏見と闘いつつ向かい風に立ち向かって業界をけん引してきたような猛者ばかりが集まっていたので、みるみるグラッパは減ってゆき(笑)、ボトルの底に2㎝程度残っただけなのでより有効にそのグラッパを楽しむため、お菓子に入れてしまうことにしたのでした。なぜならばママろばは蒸留酒が飲めないのです(笑)。お菓子なら、喜んで食べられる!

Siciliamoの榎木シェフにお願いしてパスタ ディ マンドルレに練り込んでいただきました。

何に、どのくらい加えるのかなどの塩梅はすべて榎木シェフのセンスにお任せしました。こんな無茶ぶりにちゃんと応えてくれたシェフに心から感謝です。

10個入りセットの中の2種類にだけグラッパを加えたそうです。あとの8個は前回と同様のグラッパなしの仕様となります。

わたしたちの20年間の歩みをお裾分けするような、そんなセットです。正直、値段なんてあってないようなものなので大阪の工房に送る時とボトル(とっておきたいので)を返却してもらう時の送料くれいを皆さんに負担してもらえばいいかな、という価格設定にしました。二度と同じものを作っていただくことはできませんが、きっと長く記憶に残るような特別な味わいに仕上がっているのだと信じます。

20セットだけ作れたようですので、ひとつはわたし、もうひとつは今村昇平に贈りたいと思います。
彼からはよく「ふたり合わせて半人前」とからかわれました。あまりにもドンピシャリすぎてラベルを見て笑ってしまいました。一人の天使にひげを描きたいくらいです(笑)。

皆さんも、わたしたちと一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
パスタディマンドルレはコチラのページから。

Siamo angeli con un’ala soltanto
Possiamo volare solo restando abbracciati

わたしたちは 片翼の天使
しっかり抱き合っていないと空を飛べないの

(翻訳 サノヨーコ)

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