2023-11-13

塩抜きせずに使える香り高いケイパー。刻んでオリーブオイルと和えるだけで何でも極上のひと皿に。

シチリア産の野生種ケイパーの塩漬けです。ケイパーはとっても手軽な洋風だし&調味料で、同時に具にもなってしまうという超すぐれもの。シチリア島南西部のヴィットリアからアリアンナ・オッキピンティさんのケイパー新ヴィンテージが、待望の到着です。これでやっと心置きなく使えますね。

ろばの家がご紹介しているイタリア食材の中ではSante Bertoniのアグロドルチェ(白バルサミコ酢)と並んでリピートしてくださる方が多い。唯一無二のケイパーですからね。一度使うと違いは歴然。皆さんのお宅でも必需品として定着してきたようで嬉しい限りです。

調味料としても具材としてもハーブとしても活躍してくれる万能選手なのでただ刻んでポテトサラダに混ぜる、オムレツの具にする、ソースにする、など使い方は無限大です。冒頭の画像はカツオのカルパッチョ。さっと洗って塩を落としてから刻んでオリーブオイルと混ぜ、新玉ねぎのスライスとイタリアンパセリを刻んでワインヴィネガーかレモンのしぼり汁を加え、カツオのたたきを和えただけのスピードメニューです。かつおだけでなく、白身魚やホタテ、サーモンなどお好きなお刺身で同様にカルパッチョができます。

下の画像はろばのウチの定番ポテサラ。具は潔くケイパーのみ。粉吹きイモを塩なしで作って熱いうちにオリーブオイルと刻んだケイパー、アグロドルチェ、レモン少々(うちではたっぷり)で味付けしたサワーポテト。ややあたたかい内に食べるのがおすすめです。マヨネーズなしでもものすごく美味しい。下味がしっかりつくので冷めたら少しだけマヨを足しても美味しくお弁当にも重宝。変化球でゆで卵を刻んで混ぜたバージョンは子供たちに大人気です。チビろばちゃんもオリーブは苦手というのになぜかケイパーは大好物。掘り出して食べます(笑)。

店頭で試食に出すと「これはイケる!」と皆さんからとっても評判がよいのがケイパーバター。なんのことはない、塩漬けケイパーをざくざく刻んで無塩バターに混ぜただけのものなのですが、これがもう、かなりかな~~~り、相当に、旨い。ちょっと味見のつもりが、気が付くとドムッシャドムッシャ、本気で食べ進んでしまいます。く~~~、これは白ワインが欲しい!ワインのおつまみに最高の組み合わせなのです。塩漬けになっているケイパーは発酵食品でもあり、油分と出会うとケイパーのこなれた塩味と磯の香りが、より複雑な旨味をかもしだします。お味見していただいた方の中には「ブルーチーズみたい!」と驚いた方も。

普通の塩漬けケイパーならば数十分水に浸けて塩抜きしなければ食べられない程塩がキツイのですが、アリアンナのケイパーは最低限の塩しか使っていません。そのため一般の塩漬けケイパーが常温保存できるのに対し、アリアンナのものは要冷蔵なのです。ここまで塩を押さえた塩漬けケイパーを、イタリアでは見たことがありません。トラーパニ塩田の天日塩を使用していますが、よく塩漬けケッパーに見られる塩の結晶がほとんど見当たりませんよね? 塩が優しいということは、それだけ塩抜きが必要ないということです。香りが命のケイパー、そのまま使えるなんてこんな贅沢なことはありません。水に浸けて塩抜きすると、どうしても香りが損なわれてしまうからです。アリアンナのケイパーは塩も旨味があるのでその塩味を生かして調味する感覚で使えます。塩分を控えたい場合にもさっと洗って水気を拭くだけで十分。そもそも使用しているケイパー自体がモンテイブレオという荒涼とした丘陵地帯の野生品種で風味が強い。一般に海岸沿いで栽培されることの多いケイパーを、冬には霜も降りるような寒暖差のあるイブレオ地方のものを選ぶあたり、さすがグルメのアリアンナという感じです。

葉っぱや果実のケイパーベリーなどもゴロゴロ混じっていて、ベリーの大きさもまちまち。ケイパー自体はつぼみですからね。つぼみ以外も一緒に刻んで使ってしまうのがまた美味しい。ただしベリーの方はたまにしか入ってないので見つける料理に入れずについポリポリと味見してしまいますが(笑)。

実際に使ってみていただけるとわかると思うのですが、実はとっても便利な調味料、塩漬けケイパーの簡単すぎるレシピと使用例をご紹介しましょう。

<<ケイパーバター>>
1、無塩バター一箱(225g)を室温に戻す。
2、ケイパーを計量カップ50㏄くらいの分量とり、サッと洗ってペーパーで水けをふき粗くみじん切りにして1に混ぜ込み、冷蔵庫で保存する。2週間以上冷蔵保存する場合には小分けにラップして冷凍庫で。

<<ケイパーバターの使用例>>

1、トーストしたバケットやクラッカーに塗って。
2、ポトフに添えて。
3、粉吹きイモに熱いうちに混ぜ込み、ケイパーだけが具の大人のポテトサラダに。好みでマヨネーズをプラスしても。
4、カジキマグロや鶏肉のソテーの焼き上がりに、一人前大匙一杯のケイパーバターを溶かして肉汁に和え、ソースにしても。
5、茹で上げたいんげん、スナップえんどう、ソラマメ、など豆類や、人参や蓮根などの根菜に和えて。
6、アサリのスパゲッティやキャベツや菜花などオイルベースのパスタの仕上げ、コク出しに。

と、展開例が無限なのです。ケイパーを購入する方がよく「こんなに使い切れるかしら?」と首をかしげるのですが、こんな風に色々に展開できれば、案外すぐに使い切ってしまいますよ。

続いて、もっと簡単でもっとヘルシーなオリーブオイル和えも。

<<ケイパーオイル>>
1、ケイパーを粗くみじん切りにしてエクストラオリーブオイルと混ぜ、密封瓶に入れて冷蔵庫で保存する。

<<ケイパーオイルの使用例>>
1、生の大根、カブ、コールラビなどを5㎜の厚さにスライスし、ケイパーオイルを乗せて前菜に(画像上)。トーストに塗って軽く焼いたブルスケッタも美味しいです。
2、ドレッシングのベースに。ワインヴィネガーや柑橘を加えればそのままサラダのドレッシングになります。(ジャガイモ、いんげん類、ゆで卵に特によく合います。)
3、タルタルソースのベースに。玉ねぎ、ゆで卵、ピクルスなどを刻み、マヨネーズとケイパーオイルで和える。
4、トマトベース、オイルベースのパスタに加えて。アンチョビやオリーブとも相性ばつぐん。
5、トマトとさらし玉ねぎをヴィネガーで和え、ハードタイプのパンを加えてパンサラダ(パンツァネッラ)に(画像下)。

上の画像は、実はあのただのトマト、イザベッラのペラーティ*(=ホールトマト*ペラーティは現在欠品中です。)とアリアンナの刻んだケイパーをオリーブオイルで和えただけのもの。そこへ少し硬くなったパンを混ぜ込んだだけの楽ちんメニューなのです。本式のトスカーナ風パンツァネッラはガッチガチに硬くなったパンを使うので、いったん水で戻してから軽く絞ったところへトマトや玉ねぎ、ヴィネガーなどを加えて調理するのですが、もともとは貧しい農民食です。湿度の高い日本では、逆にそこまでガチガチに古くなったパンが家庭に常備されている(カビもせずに)ことはそうそうないので、一日たったパンやトーストしたパンを水に浸さず代用できます。イザベッラのペラーティはトマトから出た自然な水分がすでに十分美味しいので、その水分ごとパンに吸わせてしまいます。夏場は冷蔵庫で冷やしておくと、食欲のない時にもさっぱりと食べられますよ。火を使わないのも夏には嬉しいですよね。お子さんも好きな味なので夏休みなどにぜひ試してみてください。

<<ケイパー出汁>>
そして、ケイパーの意外な使い方。磯っぽい香りとこなれた塩味をお出汁に加えて、ケイパーの塩味だけで味付けするやり方です。これが、お料理好きの皆さんが目からウロコと喜んでくださる新鮮な味わい。特にこの、ケイパーおでんはぜひ試して頂きたいスペシャルレシピです。

上記ふたつのレシピがケイパーを刻んで使うのに対し、お出汁にする場合は丸ごと使うのがポイントです。長い時間液体に浸かっているので刻むと味が抜けてしまうからです。

<<ケイパーおでん>>
1、濃いめにかつお出汁をとる。
2、煮崩れしにくい品種のじゃがいもの皮をむき、ジャガイモ一個に対してケイパー5個くらいの割合でお出しにケイパーを加え、弱火でコトコト煮る。お好みでバターをひとかけ乗せて供しても。
*ジャガイモのほか、大根やカブ、小玉ねぎ、カリフラワー、れんこん、湯むきトマト、ゆで玉子などを加えても美味しいです。

<<ケイパースープ>>
1、玉ねぎ1個をケイパー大匙4杯程度と一緒にたっぷり目のオリーブオイルで蒸し煮にするように炒める。焦げ付かせないよう適宜少量ずつ水を足し、蓋をして炒めるのがコツ。
2、ジャガイモを食べやすい大きさに切り、1に加え、水も足しながら8分目まで火を通す。
3、トマトのざく切りを加え、ジャガイモに火が完全に通るまで弱火で煮る。
4、塩味が足りなければさらに何粒かケイパーを加え、10分ほどさらに煮る。
5、食べる際に好みでバジルやイタリアンパセリを刻んで加え、オリーブオイルを回しかける。

<<ケイパーご飯>>
これはぜひとも一度試してみてください。ご試食でおにぎりにして出すと、皆さん「ええ??コレやってみよう~!」とケイパーを買って帰られますよ。
1、といだお米2合に対して大匙一杯のケイパーをそのまま混ぜ、通常通り炊飯する…だけ!

上記のほか、トマトベースのパスタに加えるのはもちろん、クリームや牛乳ベースのソースにだってアクセントとして使えます。そして、玉子との相性が抜群なので、スクランブルエッグに居れたり、マカロニサラダに茹で玉子とともに刻んで入れても。もちろんタルタルソースには欠かせません。

こうしてざっくり説明しただけの使用例でも、ざっと15種類以上のレパートリーです。ケイパーは、洋風出汁にもなる便利食材。そして、何でもない素朴な味のお惣菜を、突然ワインと合うイタリア風の味に変身させてくれる、魔法の食材。しかも長期保存が可能で味も劣化しにくい塩漬け。正直、下の画像のようにただザクザク切ってオリーブオイルでトマトに和えただけでも相当に美味しいです。軽く焼いたパンにのせればもうれっきとしたアンティパスト。

これほどまでに手軽で美味しい調味料、冷蔵庫に常備しない手はありません!

******** 秘蔵レシピ *******************
上記のレシピのほかに、実はまだとっておきのレシピがあるのです。週に5回くらいケイパーを使ってしまう、ケイパー大好きママろばの十八番レシピが。これまでメルマガでのみ限定公開してきましたが、とにかくケイパーの美味しさ、手軽さを知っていただきたいのでこれから少しずつこのHPでもレシピをご紹介してゆきたいと思います。

<<秘蔵レシピ①簡単サルサヴェルデ>>
ケイパーとイタリアンパセリを同量ずつひたすらみじん切りにして良質のオリーブオイルで伸ばすだけ。謝りたくなるほど簡単ですがイタリア風肉おでんのボッリートに添えたりBBQの時お肉の薬味にしたり、魚介系のパスタの味付けに使ったり。そのままパンにつけてもポテサラに混ぜ込んでも深い旨味と爽やかさで脂っこいお料理にアクセントと軽さを与えてくれます。イタリアンパセリがない場合はルッコラやセロリの葉、バジルなどでも美味しくできますよ。

<<秘蔵レシピ②塩分はケイパーのみ!ワインに合うレバーペースト>>

さて、このレバーパテ。シチリアに住んでいたころ作りはじめてもう20年くらい改良を続けてきたママろば自慢のスペシャリテなんです。我ながらめちゃくちゃ美味しいですよ~。ケイパーをたっぷり使うのでちょっと贅沢ですが、ちょっといいワインバーやレストランで出していただいても恥ずかしくない、プロの味に仕上がります。

やってみるとさほど大変ではないのでぜひ挑戦してみてくださいね。鉄分・栄養補給にも最高ですよ。

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鶏レバーのケイパーパテ(仕上がりWeckの250gに2個分くらい)

材料:鶏レバー(ハツつきでもOK)約400g 新鮮なものを
   アリアンナの塩漬けケイパー 40g(塩抜きしない)刻んでおく
   玉ねぎ 3~4個 スライスに
   発酵バター(無塩) 30g
   コショウ、好みの蒸留酒、あれば月桂樹の生葉
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準備:レバーは筋をとり1㎝くらいにスライス、ハツは脂肪と筋、皮を取り小分けに切る。氷水に10分ほどつけて血抜きする。氷水の中で振り洗いしてキッチンペーパーで拭きながら、血管から血を押し出すようにペーパーで血をふき取れば血抜きでずっと水につけておく必要はありません。ただし、よくよく水気を切っておくことが重要です。

1,フライパンにバターを溶かし玉ねぎをよく炒める。飴色になるほど炒める必要はないけれど、食べてみて玉ねぎの甘さを感じるくらいまで。

2,1にケイパーを刻んだものを加え、全体になじんだらレバーを加えて中まで色が変わるまで炒める。ほんのりピンク色に残るくらいでも、火が通っていて血がにじんでさえいなければ大丈夫。炒めすぎるとボソボソとなり食感を損ないます。

3,水分がほんのすこし残るくらいまで炒めてデザートワインやシェリー、ブランデーなどを回しかけ、粗熱をとる。
ママろばのスペシャリテはシチリア風なのでマルコ・デ・バルトリのヴェッキオ・サンペーリをたっぷり入れます。それだけで恐ろしくクオリティーが上がりますが原価も跳ね上がります(汗)。

4,ブレンダーやミキサーにかけ、ペースト状にします。若干ケイパーのツブツブが残るのはOKですが、玉ねぎが筋で残らないくらいまでかけると口触りがよいです。胡椒で味を整えて(うるさいことを言えばネ・ビアンコ・ネ・ネロがおすすめ)、煮沸した保存容器に入れて生のローリエの葉を乗せます(それだけでも香りがうつります)。

5,パンの上に塗って出すときにさらにコショウをかけても。夏場はティムールペッパーとの相性も抜群なので試してみて。

注:ペーストができた時点ではやわらかすぎに感じますが、冷蔵庫で冷やすとバターが固まるためほどよい硬さにまとまります。バターを使いたくない方はオリーブオイルで代用できますが玉ねぎを炒める時水分を残さないようしっかり炒めてください。

注:原材料の分量は目安です。アリアンナのケイパー以外の塩漬けケイパーでやる時にはしょっぱくなりすぎるのでこの量ではできません。塩抜きして使うかアリアンナのケイパーを買ってから挑戦してください(笑)。
アリアンナ・オッキピンティの塩漬けケイパーはコチラ






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